家にかかわる疑問のあれこれを分かりやすくお話します。  
 

住宅にも健康診断を

皆さんは年に一度、健康診断は受けていらっしゃいますか。会社から、あるいは保健所から家に手紙が来て病院に受けに行く方がほとんどですよね。
でも、今住まれている家の健康診断をされたという方は少ないですよね。住み始めた年数に関係なく、家にも健康診断をする必要があること、ご存知でしたか。
今回は、これからも長く住んでいきたい住宅のための健康診断のお話です。

インスペクションによる住宅診断

(1)インスペクションとは
住宅診断や建物検査などともいわれ、住宅の設計・施工に詳しい建築士などの専門家(インスペクター)が住宅の現況について調査を行い、不具合の有無や補修すべき箇所、その時期等を客観的に検査するものです。
インスペクションを行う専門家としては、検査専門会社や設計事務所、不動産会社の系列会社等が挙げられます。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会などの認定団体はありますが、現状では誰もがインスペクターと名乗れるのが実態です。
インスペクションは、瑕疵の有無を判定したり、瑕疵がないことを保証するものではないこと、建築基準法などに適合していることを判定するものではないこと、検査時点以降変化がないことを保証するものではないこと等の留意点があることをあらかじめ理解しておくことが必要です。
(2)検査方法
インスペクションは、目視による検査を基本としますが、インスペクターごとの検査メニューや依頼主の要望によっては、専門的な機器を使用して検査を行う、床下や天井裏などの内部に立ち入って検査する等様々です。
目視による検査では、全体の確認を中心に、一般的な計測器(建物の傾きやひび割れの大きさを測るもの等)を用いた現況調査を対象としています。
検査は、対象部位ごとに次のような劣化状況の有無を確認することを基本としています。

  1. 蟻害、腐朽・腐食や傾斜、躯体のひび割れ・欠損等の構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの
  2. 雨漏り・漏水による水漏れが発生している、または発生する可能性が高いもの
  3. 給排水管の漏れや詰まり等設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの
(3)検査費用
インスペクションにかかる所要時間は約3時間程です。費用は検査項目や地域によって違うものの延床面積30坪程度の一戸建てで5万〜12万円ぐらいで、購入者が検査を依頼するほか、売り主が購入に結びつけるために依頼するケースもあるようです。

専門家による耐震診断

(1)診断方法の種類
現在、専門家が行う木造住宅の耐震診断の基準は「木造住宅の耐震診断と耐震補強」(一般財団法人日本建築防災協会)が広く利用されています。
診断方法には「一般診断法」と「精密診断法」の二つの方法があります。いずれも耐震補強の必要性を判定します。

  1. 一般診断法:一般診断法では建物の破壊や内装材・外装材を剥がすことなく診断を行います。もともと「耐震補強をするか、しないか」の判定で用いられてきた方法ですが、一般診断法だけで耐震補強設計に進むことや、改修後の耐震性の診断に用いることも可能です。一般的な木造住宅では、こちらの診断法が主流になっています。 診断の方法は、建物の構造や屋根や外壁の重さ、壁がどこにどの程度入っているか、どんな強さの壁が入っているか等を、平面図や仕上げ表を元に診断を行います。設計図書が残っている必要があり、無い場合は現地調査をしてまずは設計図を作る必要があります。
  2. 精密診断法:一般診断法より精密な判定を行う場合は「精密診断法」を利用します。各部分毎に評価を行うので、天井裏や床下の調査や、必要があれば内装材を剥がすといった破壊検査が必要になります。改修の最終的な判断を下す時や、改修後の耐震性を診断する時に用いられます。
(2)診断基準
耐震診断では以下の2点について診断が行われます。
  1. 地盤や地形、基礎:地盤や地形、基礎についての注意事項が示されます。
  2. 上部構造評点:上部構造(建物)の耐震性について以下のような評点で評価します。
    上部構造評点の数字は、大地震が起きた際に、建物にかかる力の何倍まで耐えられるかを示しています。ここで上部構造評点が1.0以上であればよいのですが、もし1.0未満という結果が出た場合、1.0以上になるよう耐震補強を行っていく必要があると判定されます。
  • ・1.5以上…倒壊しない。現在の建築基準法の1.5倍の耐震強度があると考えられます。
  • ・1.0〜1.5…一応倒壊しない。
  • ・1.0…建築基準法に定める最低限の耐震強度があると考えられます。
  • ・0.7〜1未満…倒壊する可能性がある。
  • ・0.7未満…倒壊する可能性が高い。
(3)耐震診断の費用
耐震診断に掛る費用は、設計図の有無や建物の形状、築年数に寄りますが、概ね10万円程度〜20万円程度となっています。耐震診断・耐震補強の費用に関しては助成を行っている自治体も数多くありますので、ぜひお住まいの自治体に問い合わせをしてみてください。

築年数ごとの点検項目

(1)築1年未満
1年未満など建設から年数があまり経っていない場合の点検項目は、「サッシのクレセント錠」「室内建具の開閉状態」等の普段よく使用している箇所の動作確認になります。
(2)築1〜10年
建設から1〜10年になると、「基礎や外壁などの外まわり」「玄関ドアや室内建具、サッシなどよく使う部分」「水まわりの排水の具合」等の、外から見て分かる部分全般を確認します。特に基礎や外壁にひび割れ(クラック)がないか、塗装に剥がれは無いか、水回りにつまりは無いかはこの後基礎内部にも影響しかねないので、念入りに確認します。
(3)築10年以上
建設から10年以上になると、「基礎や外壁、屋根」「ベランダの防水」等の建物の寿命に関わってくるところを確認していきます。
例えば基礎部分だと、基礎コンクリートの中性化がどのくらいの進行状況かを、基礎に直径数ミリ程度の小さな穴をあけて、内部のコンクリート(粉状)をリトマス試験紙のようなもので検査し、中性化していないかを確認します。コンクリートは当初アルカリ性ですが、経年変化で中性化していくのですが、これが耐久性に関係してくるためです。
また、塗装の汚れや外壁にひび割れがないか、外壁や塗装の具合を拡大鏡を確認します。

住宅の健康診断専門の資格を持った方が継続的に見ていただけるのであれば、安心ですね。
一度、住宅も健康診断を受けてみましょう。

イメージ

<< 前の記事 記事一覧 次の記事 >>